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夕 凪 大 地

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「死神ルック 6」

久しぶりの死神シリーズです。
区切りが悪いどころか明らかに途中なんですが、とりあえず書けたとこまで上げときます。


流れは一応ちゃんと決まりましたよ。
でも2を書いたときこの続きは2通りあるよなぁと思っていて結局捨てた方のストーリーが今さら気になったりしています。
どんなのかというと、

ルックが鎌を振り回して悪霊とバトル

という身も蓋もない鎌萌え(笑)
鎌が重いから足ふらついてるルックとか超萌えませんか!?
そんで坊が横から鎌を奪っちゃって!
棍みたいにくるくる、ざっ!って鎌を中段に構えて!
もちろん坊は制服ですから遠目には三つ編みのガンダムデスサイズ乗りが完成です!

素敵すぎる、鎌!!

捨てた案なのでもうそんなシーンは出てきませんが(笑)
せっかく死神パロなんだから鎌は必要だったよねー、と延々後悔していました。

またそのうち鎌バトルシーンだけ死神ボツ案としてこのブログに載せちゃうかもしれません。




 ――自殺?
 俺は、何かを聞き違えたかと、思わず頭ごと耳を叩いた。だが本当は分かっている。俺が死神の放つ言葉を一つでも聞き漏らすはずがない。彼の美しい声、声質でなく内面の潔さが滲み出たような清々しい声、それにも俺は一目惚れしていたのだから。
「……俺を死なせない、ではなかったか」
 固く問うと、可憐な死神は懐中時計の鎖へ指を絡ませた。
「手短に説明するよ。死はその時刻が定められているだけで、死に方は個人の自由になってる。体を労わらない生活を続けて成人病を患うか、マフィアの抗争に明け暮れて敵対勢力に銃殺されるか。死の時刻に道路を横断すればきっとトラックに轢かれるだろうし、その時刻海で泳いでいれば溺死することになるだろう。死への道のりは個人の自由な人生決定に拠るものであって、運命はそこへ至るどんな試練も誘導も一切行わない。ある時刻に生まれある時刻に死亡する、定められているのはただその二点」
 つまり死神が言いたいことはこうだろう。俺はあと数分でここから飛び降りねばならない事情に見舞われる。あるいはこのビルが崩壊するか、すぐ下で火災が発生するか。もし仮に先のまま俺の家へ居たとすれば強盗が押し込んできたり頭上のシャンデリアが落ちてきたり、逃げおおせたとしてもその拍子に転んで首の骨を折ったり。当人の状況に合わせた死に方が間もなく訪れるというわけだ。
 死神は俺をひたと見た。鎖に絡めていた指を解き、一つ、と垂直に一本立てた。
「けど、たった一つ。死の時刻には例外がある」
 俺は死神の指を見る。関節がないみたいに細く、まっすぐで、屋上を舐めるように差す夕陽を背負っている。それがざぁっと柔らかい雲に覆われた途端、死神の指は白く発光したようにさえ見えた。真っ白だ。いかなる穢れにも触れたことがないような。
 俺はぼんやりと死神の言葉を反芻した。
「……例外」
「自ら生命の灯火を絶つこと。――そう、自殺こそが、唯一無二の例外なんだ」
 声を潜めて明かす死神。夕陽が再び彼の背を照らす。雲を散らしてビルの屋上を一際強く吹きすさぶ風に、俺は唾を飲み、なぜだか背筋がぞっとした。


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