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夕 凪 大 地

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「月影」

ルックの日飛び込み!


↑飛び込みって何だよ…
駆け込みか飛び入りだろ…

と思わず突っ込まずにはいられない6/10追記orz




 がくん、と頬杖を突いていたルックが右手から頬を滑らせる。左手は机に置いた書物を開けたまま、ページのど真ん中に手首を乗せて、とても読んでいる風に見えない。ルックは半目で緩慢に頬杖を突き直すとまたこっくりこっくり船を漕ぐ。
 眠いならベッドへ入れば、とはさっき忠告したばかりだからもう言わない。その代わりルックの左手から書物を抜き取り、栞を挟み、アスフェルは物音をできるだけ立てずに支度する。
 唯一の光源である机上の行灯を吹き消した。萱葺きの屋根はよく見るとところどころに隙間があって、満月に照らされた小さな星々がわずかな明かりを落としてくる。ガラスの代わりに簾を降ろしただけの窓からも注ぐ月明かり。ルックの腕や頬、白肌は、たったそれだけで鮮やかな白に映える。
 白い咽喉を仰のかせて腕に抱き止めた。
「夢も見ないで、眠れますように。おやすみ……ルック」
 影のように寄り添える自分でありたい。そう思う時がある。でなければ、ルックを少なからず侵食してしまうのではないか。研ぎ澄まされた孤高こそルックの本質ではないか。
 けれど深く関わらずにはいられないのだ。今だって、触れることで神性が損なわれるかもしれないと畏れながら抱き上げる。白皙の額へそっと唇を掠めさせる。
 応えてくれたか、金茶の髪がさらりと月夜に鳴った。


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