ヤっちゃった。
ヤっちゃったからほんと。
いかがわしいのがお好きでない方はクリックなさらないで下さい…。
すぐ調子に乗って舞い上がる自分が恨めしいというか欲望に忠実でかわいらしいというか、もう、このどうしようもない大暴走やりたい放題常識知らず理性なしの腐女子っぷりに自分でどうにかフォローするのも限界です。
こちら辺境萌え走りサイトということで、ひとつご寛恕のほど…。
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白くたわめる背筋に唇を。
未練がましく、ソレを抜く。
途端にすうと空しさがよぎる。
ごぽ、名残惜しげにくぐもった流動音がして、なかへおさめたアスフェルの残滓が溢れ出た。
頑なに目を瞑るルックは肌を伝う感触に震えぎぅと奥歯を噛み締める。
あれだけ散々乱れておいて、まだこんな些末事ごときにいちいち羞恥するらしい。
一枚きりしかない毛布、二つに折りたたんで敷きと掛けへ両用する広い布を、自らのもので汚す前にアスフェルは手早く拭き取った。
「……あんたさ……」
気怠げな声でルックが呟く。
凛と澄み渡る清音はことの余韻にわずか湿って、何とも言えない淫らさを孕む。
「十六、六六六パーセント。わざとでしょ」
「まさか」
「何回数えてもきっちり十日に一回は、……こう……、するじゃない」
「『こう』、って?」
「……性悪!」
ルックは毛布にうつ伏せた顔を埋めた。
こう、というのはアスフェルの絶頂を示すもののことで、十日のうち六日にセーブしているこの行為のさらに六回中一回、つまりきっちり十日に一回は、恣意的なふうを装って限りなく意図的にルックのうちへ注ぐことにしている。
まさか数えていたなんて。
恋人のかわいらしい勘定を底知れない笑みでもって肯定すると、アスフェルは丁寧に汗やその他を拭ってやった。
ついでにルックの前も清める。
ルックが何か言う前にさっさと衣類を着けさせる。
合間に自分は下だけ引っ掛けて、まだしっとり汗ばむ首裏へ指で櫛を通してやった。
くたんとアスフェルの胸板に体を預けるルック。
密やかに、溜息へ練りこんで微笑を漏らす。
陶器で作られた鈴に紛う耳ざわりの良い落ち着いた音がアスフェルの肺腑へ届けられる。
「くすぐったい?」
手を止めて聞けば、ルックは珍しく目尻を下げてぷっと笑った。
「マメだよね、あんた。特に今なんか全然格好がつかないじゃない」
「それでいいんだよ。格好なんてつけていられない。……ルックを前にして」
ルックはさも可笑しいことのように笑う。
だがこればかりは本当だ。
遊郭の女どもがするように裸体のままいつまでも抱き合ってみたり、わざと色めいた様で四肢をくねらせてみたり、そういった客を引き止めるための演出はルックに一切必要ない。
そもそもこうやって体を繋げること自体がルックの心身ともに多大なる負担を強いているのだ。
好きなんだから、馬鹿げた格好をつける前にちょっとでも不快を和らげてやりたいに決まっている。
……と、とても本人には直接伝えられない――言えばどうせ「じゃあしなきゃいいじゃない」なんてぬかすに違いないのだ――事情を瞼に隠し、アスフェルはふくれっ面をしてみせた。
しかしすぐにくしゃっと笑み崩す。
ことの最中にルックの足元まで垂れていたのを拭い去れば、ルックはまたしても噴き出した。
「もういいから。明日水浴びしてくるし。……アスフェル」
後半、何やら含んだ声色だ。
アスフェルはどきりと心の臓を縮めこむ。
こんな時だけしおらしく目線を下向ける風使いの恋人は、そのせいで頬まで綺麗な影を落とす睫毛を幾度か小さく震わせた。
こつん、額をアスフェルへくっつける。
「……寒い……」
枕元に霧島躑躅。
毛布の下には草夾竹桃。
闇を淡く揺らしてむんと立ち上る新芽の芳香。
昼間はじっとり暑さの絡む、初夏の夜更けは空まで温い。
――寒いわけが、ないじゃないか。
「……俺も」
されど便乗。
力いっぱいルックを抱く。
ともすれば折れそうに肉づきの薄い肩甲骨を、このまま溶け合えばいいと思うほど強く強く腕に射止めて。
もしこの背中に羽があったなら、俺はこうして潰すのだろうか。
詮無いことを、考えた。
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