前書きかけで晒した媚薬ネタ、とりあえずキリのいいとこまで仕上げました。
もっぺん最初から貼っときます。
↓
電気の点いていない廊下を歩き、ルックはそうっと寝室を覗く。
疲れて寝ていると思っていた。ルックが逃げ出したことに落ち込みながら、持て余す性欲を機械的に処理しながら、あまりの虚しさに泣いたのではないかと思っていた。そのうち泣き疲れて眠ったのではないかと。
(ほんとにそうなら……悪いことしたな)
昨夜はいくら目を瞑ってもアスフェルの泣き顔が脳裏に浮かんで眠れなかった。泣いている顔そのものではなく、泣きはらした目と、涙の跡が残る頬を、まざまざと思い描いていた。
脳裏のアスフェルは涙に濡れた声で言う。ルック、好きだよ。好きだから深く繋がりたいんだ……。
「――アスフェル?」
ところが寝室はもぬけの殻だった。ベッドを使った形跡もない。
ルックは焦ってリビングへ向かう。リビングと手前にあるカウンターキッチン、トイレ、風呂場、リビングを突っ切った隣の和室にもいない。家はまるで昨夜からずっと無人だったように薄暗い。
(まさか)
ルックは閉め切られたカーテンを思い切り引き開けた。
「アスフェル!」
朝日が眩しい。薄暗闇に慣れた視界はしばらく真っ白に染められた。何度も瞬いて丸い太陽の残像を消す。消してようやく、ガラス戸の外側、ベランダに佇む影が見える。
「アスフェル、アスフェル! ばかなことはやめ、」
「ルック? おかえり」
室内を振り返ったアスフェルは、実に暢気に微笑んでいた。
片手にビールの缶を持ち、充血した目を気だるそうに細めている。そしてアスフェルは首へタオルを巻いているものの上半身が裸だった。朝晩は屋外の肌寒い初秋に何を考えているのだろう。
いや、それよりも。
「びっくりした……。まさか、あんたが」
(――薬の勢いで飛び降りたかと)
アスフェルに限って、と分かってはいる。けれど極度の後ろ向き思考、悪い予想から順に考えるルックにとって、一度浮かんだ嫌な想像は決して打ち消せなかったのだ。泣いて、疲れて、生きる気力もなくしていたらどうしよう、と。
ガラス戸を開けるのももどかしく、ルックは衝動的にアスフェルの胸へ飛び込んだ。
「ル、ック?」
「割に合わない!」
飛び込んだアスフェルの胸板を拳で叩く。
けれど何度叩いてもすっきりしない。薬の副作用である狭心の症状を恐れるあまり拳に力を込められないのだ。自分がいかにアスフェルを気遣っているか思い知らされ、ルックは苛立ちに唇を噛む。
「あんたが悪いのに、僕にはあんたを懲らしめる権利があるはずなのに! 結局僕が嫌な思いして、僕ばっかあんたに振り回されて! 不公平だ、こんなの! ずるい!」
「ルック……」
「うるさい! あんたなんか、あんたなんかに僕の苦しさは絶対一生分かんない! だってこんな思い……僕はあんたに絶対させたくないんだから……ッ」
アスフェルがルックをゆっくり両手で抱き寄せる。突っぱねようと後退りかけて、ルックは足に変な冷たさを覚えた。アスフェルの手から缶ビールが落ちていたのだ。ルックが飛び込んだ勢いでだろう。
靴下に染み込む嫌な感触へ冷や水を浴びせられた心地がする。あまりの情けなさに目線がふらりと足元へ落ちる。
「……アス、フェル」
下を向いて初めて、ルックはアスフェルの異常を知った。
アスフェルの下半身はトランクスを履いているだけの寒々しい格好だった。そしてその股間が、トランクス越しにも見て取れるほど隆起している。
「これ……もしかして、薬飲んでから、ずっと……?」
「悪いか」
「それでベランダで体を冷やしてたの……?」
「全然、ちっとも、冷えないけれど」
「自分で処理すれば……」
アスフェルの返事は珍しくぶっきら棒だった。ルックは思わず顔を上げる。アスフェルが首を左右へ振ると、髪の先から水滴がひとしずく首を伝った。よく見れば髪は濡れている。
「分かっていないのはルックだ。……俺はな、ルック以外で射精できない」
ということで、ここから晴れてアハンウフンです(笑)
肝心のアハンウフンなシーンはまず他のエロを書いてからにすると思うので当分お預け!? なのか!?
ていうか坊よ、ルックの写真でもムリだったのか…。
10代だったら写真でもイケたろうにねぇ。
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