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夕 凪 大 地

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「猥談の続き」

先の「猥談」にさっそくの拍手をどうもありがとうございます!

あれ、2時間だと書きこむのに限界がありましてね。
ほんとはこんなネタが下敷きにありました。


…あー、そういやうちのパソコン、「わいだん」が変換できません。
仕方がないので毎回「ひわい だんぎ」と入力してから卑と義を消しています。
そろそろ辞書登録するか。





 アスフェルはぼんやり思い出す。
 アスフェルの母は、おそらく貧乳の部類だった。アスフェルの乳母やメイド頭が揃ってふくよかだったのに対し、母は病気で痩せ衰えていた。ネグリジェから覗く母の肘や足首、そして鎖骨は、尖った骨の形そのものだった。
 すなわち幼少のアスフェルにとって、女とは儚く脆いもの、美とは青白く貧相な事物のことだったのだ。
「それって、まんまルックじゃねーか」
「どこが」
「要するにお前はガリガリのもやしっ子体型が好みなんだろ」
 シーナに言わせると身も蓋もない。
 しかし否定はできないのだった。初めてルックに会った時、その繊細な体躯に目を奪われなかったと言えば嘘になる。
 ルックの顔色は紙のように白かった。ロッドを握る指は折れそうに細かった。ローブの袖はたっぷり余り、彼の痩せぎすであることが容易に察せられた。
「似て……いるのかも、しれないな。ルックは母に」
「や、さすがに似てはいねぇんだけどな。お前んちの肖像画、かーちゃん絶世の美女じゃんか」
「ルックだって!」
「悪ぃがノーマルの俺から見るとルックは別に美人じゃねーぞ。全然」
「……よく言った」
 殺そう。本気で。
 ――とアスフェルは右手を発動させかけたが数秒後には冷静に返る。
 つまりシーナはルックを恋愛対象に含める恐れがないということだ。事実上アスフェルへの降伏宣言に等しい。
 殺気はみるみる眼識のない男への憐憫に変化して、アスフェルはじっと、シーナの双眸を覗きこんだ。
「視力はそこそこ良さそうなのに、その目はまったく使い物になっていないんだな」
「……やっぱ俺お前がでぇっ嫌ェだわ。アスフェル」
「情報収集に一役買う軽薄な性分とトラン共和国大統領への口利き係、以上二点において俺は大いに君の価値を認めている」
「――チキショー!」
 二人が飲み交わすバーには閑古鳥が鳴いていた。二人以外に客はなく、アスフェルはそれをシーナの心遣いと受け取っていた。
 だからこんな本音も漏れる。
「ルックが母に似ているのだとしたら……俺は天国の母に申し訳が立たないな」
「うっせ」
「母に似た者の全裸で勃起す」
「言うな言うな頼むからそれ以上言ってくれるな!」
「俺はあの時、我ながら鉄の自制心を褒めちぎってやりたかった」
「あの時っていつだよ待て頼む言うな!」
「リツカと四人で露天風呂に入っ」
「ほら見ろ俺その場にいたんじゃねーか! 聞きたくなかった! お前らのこと応援してやろうと思ってるけどそーゆー生々しいのは知りたくなかった!!」
 シーナがグラスをカウンターに叩きつける。零れたウォッカが滑らかな木の天然色を滲ませてゆく。
「肌は白い方がいい。絶対だ」
「止めろ止めろもうお前喋んな、男同士でどうやってヤんのか気になったら俺は負けなんだ!! 何にって、ざけんな、全世界に!!」
 アスフェルはふっと笑みを浮かべた。いつか詳しく教授してやる、と決意しての笑みである。
 シーナが明朝には旧解放軍の面々に会うことを、アスフェルはすっかり失念していた。









アスフェルぼっさんは一目惚れタイプです。
シーナは無意識に外見とか血筋とか、世間的に見て釣り合いが取れているかどうかの物差しで判断しているんじゃないでしょうか。
だからルックのことすごく気に入ってるけど恋愛に発展させないのね。

余談ですが、この後、「うちのかーちゃんと似てんだよなー……あの肖像画の夫人……」って気付いてorzするシーナがいたと思います。
シーナ、マザコン。

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